はるげと|果てなき流浪はゲームと共に

はるげと|果てなき流浪はゲームと共に

長い人生、ゲームが無ければ生きられない。フリーゲームの感想メイン

【フリーゲーム感想】DAY:0

「DAY:0」のタイトル画面


・タイトル:DAY:0

・作者:PANOGAMES 様

・ジャンル:タワーディフェンス

・プレイ時間:40分~(1周)

 

・お勧め度:★★★★☆  4

 

www.freem.ne.jp

 

第12回ウデイコンで堂々の総合1位を勝ち取った本作
独創的かつ戦略性に富んだゲームシステムと精練されたグラフィック、直観的なUI。多くは語られないが深みのある独特な世界観。まぎれもなくフリーゲームの名作といえるこのゲームを今回はレビューしてみる。

タワーディフェンスゲームの常識を打ち破った快作

タワーディフェンス(以下TD)といえば、一般的には定められたルートを通り向かってくる敵に対し、ルートの外に敵を攻撃する防衛施設を配置することで、敵の侵攻を防ぐのを目的としたゲームだ。

本作はそのTDのコンセプトは踏襲しつつも、タワーを自由自在に動かせるというアイデアを追加することで、独特なゲームシステムへの昇華に成功している。

TDではどの位置にどの防衛施設を配置するかが攻略の鍵となるが、再配置制限を排除した本作では、敵の特徴、配置、進軍ルートを考慮しつつ、適切にキャラを移動させ続ける事で敵の侵攻を防ぐ事が鍵になる。

プレイヤーはゲームを始める前に、使用する5名のユニットとそれぞれに装備させるカード、そしてスペルとブロック3種を選択する事になる。それぞれの用途と気を付けるべきポイントを簡単に見ていこう。

使用キャラの選択画面

お気に入りのユニット5名とカード、スペル、ブロックを選択してゲームに臨もう。

ユニット選択

使用できるユニットは全12名。性能の特徴から大きく「オールラウンダー」「ディフェンダー」「アタッカー」「ヒーラー」「バッファー」の5種に分けられる。各ユニットには固有のスキルも用意されていて、同じ役割に分類されていても使用感は大きく異なる。使用するユニットの組み合わせによって戦略、難易度が大きく変わってくるため、自分にとって使いやすいメンバーを見つける事が重要になる。

とはいっても初めはどのユニットが使いやすいかも分からないため、まずは感覚的な好き嫌いで決めてしまって良いだろう。初心者でも扱いやすいユニットは「フィフティ」「アインス」「ツヴァイ」「ジーヴェ」辺りだろうか

使用可能キャラの1人であるイーバーの説明画面

筆者のお気に入りはこのイーバー。撃たれ弱いが防御貫通による圧倒的な破壊力を誇る。

カード選択

各ユニットにはカードを1枚づつ装備させることができる。ゲーム開始当初は1種しか使用できないが、条件を満たすことで使用できるカードが徐々に開放されていく。その効果は装備したユニットの能力を向上させるものや、各種ボーナスを与えるものなど多種多様だ。ユニットとカードの組み合わせによっては取り得る戦略も変わってくる。

ユニットに装備させるカードの選択画面

初めは「星」のカードのみが使用可能。それ以外のカードの効果は自分で確かめてみよう。

スペル選択

プレイヤはユニット操作以外にもスペルと呼ばれる特殊能力を使用することができる。全6種の中から1種を選ぶことになるが、こちらも効果は千差万別。一度使用すると再度使用するまで一定時間が必要になるため、タイミングの見極めが重要だ。再使用までのウェイトタイムが短く効果も腐りにくい「グレーターヒール」が個人的なおすすめ。

スペルの選択画面

HPを全回復する「グレーターヒール」。再使用までの時間も短く態勢立て直しに重宝する。

ブロック選択

本ゲームではユニットを配置する足場を自分で作成しなくてはならない。その際に使用されるのがこのブロックだ。ブロックも全8種から3種を選んでプレイすることになる。ブロックにはそれぞれ効果が設定されており、マテリアル(※1)収入を増やす「草原」、ソウル(※2)収入を増やす「海」といったリソース確保用のブロックに加え、敵にダメージを与える「罠」や味方キャラを回復させる「治癒」などの戦略的なブロックも存在する。基本はリソース確保用に「草原」「海」の2種を選択し、残り1枠を自分のプレイスタイルに合わせて選ぶ形が良いだろう。
※1:ブロックの配置に使用するリソース。時間経過や敵の打倒で入手可能。
※2:キャラの召喚やレベルアップに使用するリソース。時間経過や敵の打倒で入手可能。

使用ブロックの選択画面

スキルゲージ上昇効果のある「本」は使い方によっては非常に強力。

特筆すべき攻略の自由度の高さと戦略性

編成を終えるといよいよゲーム本編の開始だ。

プレイヤの敗北条件はマップ中央下側に位置するコアを破壊されること。コア位置にユニットを配置しておけばコアへのダメージは(特殊な攻撃を除き)防ぐ事ができる。しかしコア位置にユニットを留まらせるだけでは、敵を逃してしまったり、射程外から一方的に攻撃を受ける事もある。

ユニットの召喚とレベルアップ

そのようなジリ貧状態を解決する打開策はユニットを増やす事だ。編成で使用するユニットを5体選択したが初めから全てのユニットを使用できる訳ではなく、ソウルを消費して順に召喚していくことになる。

ソウルはこのユニットの召喚とレベルアップに使用されるが、新規ユニットの召喚を優先するか、既存ユニットのレベルアップを優先するか選択を迫られる。少ないユニット数ではすべての敵を補足しきれないが、レベルが低いと火力不足。両者のバランスが重要になってくる。

ゲーム開始当初の敵の侵攻場面

リーダユニット1体とコアの周りの少しの土地しかない状況からゲームは開始される

各ユニットには装備品を付与することもできる。敵を倒すと一定確率でドロップされるものだが、序盤でも性能の良い装備品を入手できる可能性はある。運よく高性能な装備品を手に入れる事ができたら、幸運に感謝しつつ有効活用できるように運用しよう。

装備品を取得した画面

装備品はマップの右側を流れていく。良品を入手したらすぐに装備するかストックをしておこう。

足場の構築とリソース確保

ユニットの召喚と同時に足場の確保も重要なファクタだ。

ゲーム開始当初は足場はコア回りにしか存在せず、近くの敵にしか対処することができない。そのためプレイヤはマテリアルを消費してブロックを配置し、ユニットを移動させるための足場を確保する必要がある。

また各ブロックはそれぞれ特殊な効果を持っているため、どのブロックを使用するかも重要になる。マテリアルやソウルといったリソースがないと身動きもとれないため、序盤は可能な限り「草原」や「海」といったリソース産出効果があるブロックを優先的にマップに敷き詰めていこう

複数のユニットを配置した場面

ブロックで足場を確保しユニットを配置すれば遠くの敵にも対処可能だ

徐々に激しくなる敵の攻勢とユニット管理の重要性

敵キャラの攻撃方法もバリエーションに富んでいる。横方向に絶大なダメージを与えくるがそれ以外は攻撃手段を持たない固定砲台のような敵や、一定時間立つと周囲を巻き込んで自爆する敵など、それぞれの特徴に合わせた位置取りと進退判断が必要になる

ユニットは死亡しても一定期間立てば自動で復活できる仕組みになっている。しかし死亡回数が増えるにつれ、復活にかかる時間が加速度的に増加していく。そのため、敵の攻撃が激化する終盤は仕方がないにしても、序盤では可能な限りキャラを死なせないように注意を払わなくてはならない

終盤になればなるほど攻撃は激化し、強制全体攻撃や足場の破壊、ダメージ床への塗り替えなど凶悪な攻撃手段をこれでもかというほど叩きつけてくる。ラストステージを無事クリアできるかはそれまでのステージの積み重ねの結果。難易度は高いがクリア後の達成感を是非とも味わってみて欲しい

まずはゲームに慣れる事から始めよう

プレイ当初は画面上の多大な情報量に只々圧倒されてしまうかもしれない。ただ慣れるにつれて膨大な情報量をリアルタイムに把握しつつ、攻略のために試行錯誤する自分に気づけるはずだ。ゲーム難易度も「EASY」「NORMAL」「HARD」の3種から選択できるため、まずは「EASY」から初めてゲームに慣れる事をお勧めする。(一定条件を満たす事で「HARD」よりも難易度が高い「WORLD」を選択できるようにも)

チュートリアルも充実しているため操作はすぐに理解できるようになるだろう。情報量が多い故の多少の取っつきにくさあるが、そこを乗り越えれば珠玉のゲーム体験はすぐそこだ。

総評

ジャンル上はTDだがTDとは大分異なるゲーム性を持った本作。
編成の自由度も高く色々なユニットを使ってみながら戦略を試行錯誤するのが非常に面白い。クリアできるまで何回もトライしてしまう中毒性は相当なものだ。
TD系統のゲームが好きならば文句なしにお勧めできる一品