・ゲーム名:廃館少女
・作者:腐乱ぼわーず 様
・ジャンル:探索ADV
・プレイ時間:1時間半
・制作ツール:WOLF RPGエディター
・お勧め度:★★★☆☆ 3
廃墟となった館を少女が探索する
第12回ウディコンにも投稿された本作品。主人公の少女がほぼ情報ゼロの状態で館に放り出される所からゲームは開始する。「廃館少女」というタイトルから推測されるように、館は既に人の住まない廃墟となっている。この館で何が起きたのか、なぜ少女はここにいるのか。プレイヤが疑問に思うであろうそれらの謎を、館に仕掛けられた各種ギミックを解きつつ調査していく事になる。
秀逸なのは暗闇を照らす明かりによる視界制限と、質の良いグラフィックから醸し出される恐怖と孤独感。幼い少女が1人で館を歩き回る心細さが伝わってくる。ホラー演出自体はそこまで多くはない(※)が、独特の雰囲気を作り出すのに成功している。
※多少の追いかけっこ要素は存在するが、ゲーム開始時に難易度を選択できるため、苦手な人は「ゆっくり」を選択するのが良いだろう。
謎解きは全体的に易しめの設定。基本は地面に落ちているアイテム収集と、ご丁寧にヒントを与えられる謎が大半のため、余程の事がない限り詰まることはないだろう。ただ一つ終盤のギミックに自分は躓いた(勘が良い人はすぐに気づけたのだろうか…)
ストーリィ自体もおおやけに物語が語られるというよりは、探索を進める中で発見できる新聞記事や雑誌類の断片情報から、プレイヤが背景を推測(妄想)するのがメインになる。最終的にエンディングで真実が明かされる事になるが、その内容はかなり衝撃的(確かにそれとなく匂わせた演出はあったな…といった感じだが、伏線が少々弱い気がはする)
詳細はここでは述べないので、是非とも真相はプレイして確かめてみて欲しい。
ネタバレあり感想
(反転で表示)
エリーザの複数人格設定や、子供の言うことは否定しないという孤児院の方針から、リリーとエリーザ同一人物説を自分の中で考えていたのですが真相は全然違いました(作者様のミスリードにまんまと嵌った形でしょうか…)
自分は謎解きのための大掛かりな仕掛けが為されている館などがあると、誰が何のためにこんなの作ったの?とその必然性まで気にしてしまう質なのですが、本作ではアーノルドの自作自演ということで一応の説明がつくのでしょうか。「プレイヤーが見ている情報≠現実」ということもあって明確な所はぼかされている感はあり。
ちなみに自分が躓いた謎解きは時計の針の時刻合わせ。鏡の間の鏡像には何か意味があるとは思っていたが、それが「SOS」の血文字だったとは。「SOS」+α が鏡に映っていると考えれば、本当の文字はその鏡像なので…というのが答えです。
総評
オーソドックスな探索ADV。オリジナリティはないが、それ故安心して楽しめる。この手のゲームが好きなプレイヤなら一度遊んでみても損はないだろう。