【フリーゲーム感想】探偵のすすめ ~先生は犯人?!編
・タイトル:探偵のすすめ ~先生は犯人?!編
・作者:たんすかい
・ジャンル:ユーモアミステリー系ノベルゲーム
・プレイ時間:30分~
・お勧め度:★★☆☆☆ 2
中学1年生が主役の推理ゲーム
同人ゲームサークル「たんすかい」様制作の「探偵のすすめ」シリーズ第1弾。4月に中学生に上がったばかりの主人公とその友人が巻き込まれる事件を取り扱ったゲーム。仲が良かった友人が自殺した。自殺だと信じられない主人公たちが独自に捜査を始め……といったストーリィ。処女作(?)でもあって内容は非常にシンプル。
選択肢によりストーリィの若干分岐はあるが、大きな流れは変わらず基本は一本道のノベルゲーム。事件解決前に主人公の推理を語るシーンがあるが、ここで正しい回答を示せないとゲームオーバー。それ以外にも恐らく「友人からの信頼度」といったパラメータが存在し、事前の推理パートで変な回答ばかりしていると「信頼度」が下がり先に進めないケースも。ふざけた回答をしてよいシーンと真面目に答えるべきシーンの見極めをしておかないと痛い目に合うので注意。
主人公はいたって普通の中学生。本シリーズの探偵役である女の子(朝島美奈子)に恋心を抱いているか中々言い出せないような奥手な性格。本編の中で友人の1人である「佐藤健太」がキャラが弱いという話題がでるが、よほど主人公の方が目立たないキャラだよな…といった印象。捜査自体も主人公が主体的に進める訳でもなく、友人たち(主に朝島美奈子)が引っ張っていくため、さらに影が薄い。
事件自体も構成は単純。自殺ではない⇒なら誰が殺した?という流れで推理を進めていくことになるが、余りプレイヤに推理させるような作りにはなっていない。文章自体がほぼ会話文で進んでいくため少々状況が分かりにくいことも。真犯人が判明した後にわかる犯人の動機も、ちょっとこれはどうなの……といった感はある。
ジャンル自体が「ユーモアミステリー系ノベルゲーム」ということもあり、本格的なミスティを目指している訳ではなく、主人公とその友人のドタバタ劇を楽しむ方に主眼を置いた作りなのだろう。シナリオ分量に比して各キャラの表情差分も豊富で、コロコロ変わる彼・彼女らの顔を見ているだけでも楽しめる。
大団円を迎えた物語の最後、影の薄い主人公もある重大な決断を行うことになる。その結末は実際にゲームをプレイして確かめてみよう。
総評
推理ゲームとしては評価は厳しくなるが、青春ノベルゲームとしてはそこまで悪くはない。本格ミステリに食傷気味の方がいれば、箸休めとして遊んでみるのも良いかも。
※同シリーズの感想記事はこちらから
【フリーゲーム感想】魔女の塔 ~The Witch's Tower
・タイトル:魔女の塔 ~The Witch's Tower
・作者:38
・ジャンル:脱出ADV
・プレイ時間:1時間
・お勧め度:★★★★☆ 4
謎を解いて塔から脱出せよ
「この『ゲーム』は、『最後』までプレイしてください。」というフレーズが気になる本作。主人公はサーディと呼ばれる少女。背景が語られないまま塔の1階で目覚める所からゲームは開始される。
同階には3人のキャラがいて、その中から1名パートナを選択し、塔から脱出するための「鍵」を入手するため上階へと探索していくことになる。パートナとはメニュー画面から会話をすることができるため、色々な場面で話しかけてみると面白いだろう。
上階に進むためには各種ギミックを解いていく必要がある。謎解き自体は下層は易しめ、上層になるにつれて段々と難易度が増していく設計。解決のためにはフロア間の移動を強いられるケースもあるので、多少面倒と感じるプレイヤもいるかもしれない。
個人的には難易度設定は概ね満足。最上階付近では多少歯応えがある謎もあるが、理不尽さを感じる事もなく心地よく謎解きを進めていける。
様々な謎を解きつつ、塔の再上階である8階に到達し塔の鍵を入手。ここまでは良くある脱出ゲームの域を出ない。これでエンディングを迎えるかと思いきや、物語は予期せぬ方向へと転回する。言うなればここからがこのゲームの本番といってもよいだろう。
是非ともプレイヤの皆様には事前情報なし体験してほしいので詳細は伏せる。ネタバレ上等、もしくはすでにプレイ済みの方のみ読み進めて欲しい。
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設定が作りこまれたメタゲーム
塔の鍵を入手した後ゲームの雰囲気は一変する。魔女メルは「サーディ」ではなく「プレイヤ」自身に直接語り掛けを行ってくる。そして唐突なゲーム強制終了。そう、このゲームの本質は現実世界とリンクした一種のメタゲームだったのだ。
魔女メルによる妨害を潜り抜けながら、何とか塔からの脱出(=ゲームクリア)を目指していく、その主体は「プレイヤ」である。ゲーム世界の改変、強制終了という裏技を使用してくるメルに対し、プレイヤはゲーム自体のデータを操作することで対抗する。ゲームマスタ的な立ち位置であるメルもゲーム世界の住人であるため、外部からのデータの変更には対処不能。ある種のゲームに対する禁じ手をプレイヤに行わせる発想がとても面白い。
話が進むにつれ魔女メルの目的も明らかに。メルが開発した「現実削除兵器」によって塔以外の空間が消え去った世界とその生き残り3名(+オウム1匹)。このままでは滅ぶしかない彼女らの世界を救うには、別世界と接続する奇跡に賭けるしかない。
その奇跡を実現するために、彼女らの世界の情報量を削減し、限りなく「現実値」を低くする(「現実値」が低いほど奇跡が起きやすい、という設定)。そして「現実値」の高い世界(=我々の現実世界)から観測してもらう。そのための媒体としてのゲーム、といった趣旨が語られる。
ゲームとしてのお約束の設定(キャラは特定の内容しか話さない、不要な情報は省略される等)に対し理由付けを行っている点が非常にユニーク。
最終的にプレイヤがこの世界のデコード(=現実化)を実施することになる。このデコード作業もゲームと現実世界が相互に絡み合う非常に凝った作りになっていて面白い。WOLF RPG Editorの特性を上手く生かしたギミックだろう。
現実世界とゲーム世界をリンクさせたメタゲームは数多くあれど、その設定をここまでシステム的に昇華させたのは中々類を見ないレベル。
彼女らの旅がどのような結末を迎えたかは、ゲーム上では明確には語られない。ただ残したメッセージは受け取る事ができる。そう、この奇跡を成し遂げた魔女メルには強い意志(Volition)が残っているはずだ。
総評
単なる脱出ADVと判じるなかれ。まさに、「この『ゲーム』は、『最後』までプレイしてください。」なのだ。ボリュームも1時間程度とお手軽サイズのため、通常にないゲーム体験を求めるならば、是非とも一度プレイしてみて欲しい一品だ。
【フリーゲーム感想】Armchair Detective Case.1+1.5
・タイトル:Armchair Detective Case.1+1.5
・作者:ADVangelist
・ジャンル:ミステリノベル、推理ADV(Case1.5とオマケ)
・プレイ時間:1時間(Case1.5とオマケ)
・お勧め度:★★☆☆☆ 2(Case1.5とオマケの評価)
「Armchair Detective Case.1」の後日談「Case1.5」
「尋問ザッピングADV」として世に出た名作「Armchair Detective Case.1」
上記に加えて、その後日談の短編「Case1.5」と、オマケ追加コンテンツとして「TGS特別体験版~消えた等身大パネル~」が同梱された本ソフト。それぞれ数十分で終わる程度のボリュームだが前作のファンにとっては十分楽しめる内容だろう。
「Case1.5」は日常で起きたとある事件を所長と蒔苗で解決するというお話。残念ながら前作のような尋問ザッピングパートがある訳ではなく、物語を読み進めるだけのミステリノベルになっている。
ちょったした情報、ちょっとした違和感から推論を重ね解を導く所長。その所長が語る直観論は共感できる部分が多い(私自身も直観で方向性を決めて論理で脇を固めるタイプ)。推理は所長の独壇場といった感じだったが、最後に蒔苗の直感が役立っていることが分かってよかった。
ゲームとしては評価の対象外だが、ミステリノベルとしては十分楽しめる内容。読者にとって推理するための情報が少ない(そもそも推理が必要なのかも分からないまま物語は進んでいく)感はあるが、読者に能動的な推理を求めていない設計だと考えればその構成も妥当。
蒔苗と所長の出会いのシーンも語られたこともあり個人的には満足。頭が切れている時の所長はカッコいいのだ。
※本筋とは全く関係ないが、所長が図書館で借りた本は「たのしい手話」だったはずが、蒔苗のモノローグでは「やさしい手話」になっていた。単なる誤字だろうが短いスパンで2種類の名前が出てきたので気になってしまった。
TGS特別体験版~消えた等身大パネル~
こちらは「Case1.5」よりも更に短い掌編。「Case1.5」と違って尋問ザッピングは行えるが推理メインというよりシステム紹介がメインのような感じ。
幕張メッセでの東京ゲームショウで起きたちょっとした事件を、尋問ザッピングで解決する話になる。明確なヒントをもらえるので尋問で詰まる事はないだろう。
ゲーム単品としては物足りないが、促販用にTGS2018で限定展示した体験版なので、このようなシンプルな内容になるのは当然だろう。限定展示品を無償で公開しているのだからファンサービスとして作者様に感謝すべき。
総評
それぞれ単品のゲームとしてみた場合物足りなさはあるが、あくまでも本体は「Armchair Detective Case.1」である。
この記事を読んで少しでも「Armchair Detective Case.1」に興味がでてきたら是非ともプレイをしてみて欲しい。
ダウンロードは下記で可能。
Armchair Detective Case.1:無料ゲーム配信中! [ふりーむ!]
【フリーゲーム感想】わちゃわちゃダンジョンズ
・タイトル:わちゃわちゃダンジョンズ-ルセルッカの冒険譚
・作者:Strayひろま、ポルゼンヌ小林、あたりメ 様(3名による共同作品)
・プレイ時間:8時間(TRUE ENDまで)
・お勧め度:★★★☆☆ 3
フリーゲームとは思えない完成度の高さ
第12回 WOLF RPGエディターコンテストにも出展した本作品。プレイヤはパーティを編成し攻略するダンジョンを指定するだけ。あとは自動で進行してくれる、所謂放置系ゲームに属する形式。
特筆すべきはその完成度の高さ。作りこまれたグラフィックと精練されたUI。戦闘画面で各キャラがわちゃわちゃと動くのを見るだけでも面白い。3名での共同作成ということもあり、一般的なフリーゲームとは一線を画している感がある。
とある冒険者ギルドに主人公が立ち寄るところからゲームは始まる。ギルドの受付嬢の依頼をこなしていく間にあれよあれよと物語は発展していくのだが、詳細はネタバレになるため割愛。
ただストーリィ自体は進行度によって解放されていく形式で興味があるプレイヤは読んでみてください、といったオマケ程度の位置づけ(1週目をクリアすることで主人公目線でのストーリィも読む事が可能になる)
ゲームの骨幹は何と言っても自動で行われるダンジョン攻略と、ハック&スラッシュ要素。基本は以下のルーチンを回し続けることになる。
ダンジョン攻略 ⇒ 経験値/アイテム/お金入手 ⇒ 編成見直し ⇒ ダンジョン攻略
これだけ見ると単調な作業ゲーにみえてしまうかもしれないが、
装備品の豊富さ、個性ある仲間キャラ、LvUpによる装備枠やスキルの解放等、随所に飽きさせない工夫が織り込まれている。
半自動だがやることが多い
半自動RPGと銘打っているため、プレイヤはゲーム時間の大半を画面をぼーっと眺めていれば良いと思われるかもしれないが、このゲームに限ってはそれは大きな間違いだ。
確かにダンジョン攻略は自動で行われるが、装備品の陳腐化の速度が非常に早く、最新装備でパーティを固めようとするとかなりの頻度で見直しが必要になる(後半キャラ数が増えると追いつかなくなることも)
加えて所持できるアイテム数が少ない(Ver2.05で上限350個)のため、売却等をして空きを増やさないと直ぐに一杯になってしまう。
さらにいえば各ダンジョンに現れる敵の特性(火属性に弱い、水属性の攻撃をしてくる、等)にも特徴があるため、それに合わせてパーティ編成や装備品を見直すとなると時間はいくらあっても足りない。
ダンジョン攻略のリピート数の制限もあるため、攻略の合間に上記作業を行っていれば時間が余るということは殆どないだろう。
難点をあげるとすると、仲間にできるキャラ数も多いため、新規加入キャラが増えていくにつれてキャラへの愛着が減り、装備品の更新等がおなざりになってしまう事だろうか(実際自分はそうなりました…)
総評
オーソドックスなRPGは操作が面倒と感じてしまう人には打って付け。
RPGというよりはシミュレーション好きなプレイヤに適したゲームだろう。
段々と成長していくキャラを眺めてにやにやできる諸兄にはおすすめの一品だ。
【フリーゲーム感想】君という不可思議な
・タイトル:君という不可思議な
・ジャンル:謎解きADV
・プレイ時間:10分
・お勧め度:★★☆☆☆ 2
良質な短編謎解きゲーム
10分程度で終わる短編謎解きADV。1画面完結のシンプルな構成。プレイヤが誰もいない部屋に入り込むところからゲームは始まる。
謎解きのスタイル自体は、部屋の中の様々な箇所に設定された「鍵」を推理し入力する良くある形。1つの部屋の中で全てが閉じるため、情報収集のために時間をかけて歩き回る必要もなく、謎解きのための全情報はすぐに入手可能。提示された情報から提示された謎を解くという将にシンプルイズベストな構成。他に頭を悩ませる要素もないため謎解きにのみ集中できる。
ゲーム中にヒント機能(というか答えまで教えてくれる)があるため詰まったら見てしまえばOK。とはいえこの手のゲームでヒントを見てしまうと、ゲームの本来の面白さを大きく損ねてしまうため、ヒントなしでのクリアを強く推奨。時間をかけて考えれば誰もが答えに到達できそうな、心地よい難易度で設計されているため安心して良い。
またこのゲームの雰囲気を作り上げるのに一役買っているのが、断片的に語られるバックグラウンドのストーリィ。部屋探索中に得られる情報や主人公のセリフ(独り言)から感じる違和感。さらに謎を解き明かすにつれて、過去にこの部屋で起きた出来事が徐々に明かされ、背景に流れる物語が分かってくる。謎解きを進める動機付けになるほどの強いインパクトがある訳ではないが、このゲームの面白さを引き立てる程良いアクセントとなっている。
主人公と部屋の主との関係は。主人公はこの部屋で何をしているのか。そもそも部屋に設置された謎解きギミックは誰が何のために。といった数々の謎もエンディングを迎える事ですべてが明かされる。結末も個人的には良い感じ。
ボリュームが少ないためおすすめ度は★2つだがゲームの質は良い。ちょっとした息抜きに遊んでみるのをお勧めする。
【フリーゲーム感想】アイラム・イブ
・ジャンル:病院シミュレーション
・プレイ時間:2時間
・お勧め度:★★★★☆ 4
アイラム・イブ 感想
アンディー・メンテさん作成の病院シミュレーションゲーム。アイラム・イブ。病院シミュレーションと銘打っているが、病院要素はそこまで強い訳ではなく、味付けにその設定を使っている程度。基本は限られた資産、時間の中でより高得点を目指すリソース管理ゲーとなっている。
舞台設定は主人公である医者が開院するところからスタート。ゲームの流れは、来院した患者の対応を行う「治療パート」と、治療に使用する各種薬品の作成やそのための素材収集を行う「準備パート」を毎日繰り返す形式。1日に行えるアクション数を制限する「行動力」というパラメータが存在しており、限られた回数の中で何を行うのか取捨選択して決めていく必要がある。
治療パートでは初めは何をするべきか分からないと思うが、【問診】を使うことで患者の症状がある程度は把握できるようになる。基本は【問診】で得られた情報に従って処置を行っていくのがコツ。但し【問診】だけではどの処置が最も効果的かまでは分からないため、そこは患者の症状からユーザが推測する他ない(とはいえ、難しい病気などは出てこないので一般常識に従って判断すれば大抵は正解を導ける)
問題は正解が分かっていても、処置に必要な薬品が足りない、もしくは行動力が足りないケース。その場合は泣く泣く患者を未処置のまま追い返すしかない。当然ながらそのような対応を受けた患者は不満を持ち、病院としての評価は下がってしまう。手持ちのリソースを考慮してどこで診察を打ち切るかの判断が重要になる。
準備パートでは、薬品作成のために山や草原に出向いての素材収集と薬品作成、または行える処置や薬品の種類を増やすために本を購入したり、病院設備をレベルアップするといった行動を行える。
素材収集も初めは限られた場所にしか探索できないが、探索能力が上がる事で様々な場所に行けるようになる。レアなアイテムは高価で売れるため、序盤の資金繰りは素材売却で賄うのが良いだろう。
薬品作成は「行動力」を消費しないため、素材とお金がある限り延々と作り続ける事ができる。もっとも素材が有り余るという状況はほぼないので、どの薬品を優先的に作成するのか、ここでも頭を悩ませる事になる。
その他、研修や急患対応、定期的に行われる医師会審査(評判が良ければ様々は恩恵を受けられる)等、サブイベントもあり、プレイヤを飽きさせない工夫が随所に見える。来院患者の独特な台詞回しもあり非常にユニークな雰囲気をもった作品。
難易度はかなり高めだが、リソース管理ゲームの醍醐味を味わいたいプレイヤは遊んでみて損はなし。是非とも主人公の結末を見届けよう!
【フリーゲーム感想】ドールリコレクト
・タイトル:ドールリコレクト
・作者:ルファベー 様
・ジャンル:推理デスゲーム
・プレイ時間:8時間
・お勧め度:★★★★☆ 4
前作から大幅にレベルアップした推理デスゲーム
「フィギュアディテクト」と同じ作者による推理デスゲーム第2弾。前作と比較して質、ボリュームともに大幅レベルアップ。完全クリアまでに8時間程度かかるためやりごたえは相当のもの。
ゲームスタイル自体は前作とほぼ同じ。差異があるとすると、主人公と記憶を共有できるドールと思い出を組み合わせる事で新たな証拠を作る、というギミックが追加されたことぐらいか。最もこの件もシステムとしは枝葉に過ぎず、本筋は証言に対し矛盾する証拠を突き付ける逆転裁判風のスタイルであることは変わりない。
舞台設定は魔女(とその従者)によって閉じ込められた空間での多人数による推理ゲーム。魔女、主人公(人間)、ドールという3陣営が存在し、詳細は省くが各陣営にとっての勝利条件に相当するものがある。基本は魔女vs主人公+ドール、という図式になるのだが、各陣営の思惑が交差するのが面白い。
ネタバレになるので詳細は伏せるが、最後の事件に向けた伏線の張り方が素晴らしい。各事件はそれぞれ単独で成り立たせつつも、最後の最後で明かされる事実にはなるほどと唸ってしまった。初期の段階から緻密なプロット設計がなされている事に感銘。
敢えて難点を上げるとすると、ゲーム開始から最初の事件発生まで時間がかかる(30分程度)ため、導入部で止めてしまうプレイヤもそれなりにいるのではないか。言葉は悪くなるが、OPが少しチープ感があり、本編への導線という意味では若干弱い気がする。
また、この手の推理ゲームでは必ず付きまとう問題だが、作者が想定している回答(思考経路)にプレイヤが容易に辿り着けないケースがある。ここを簡単にしてしまうと歯ごたえがなくなり、難しくすると理不尽感を与えてしまうため、匙加減が難しい所ではあるのだが。私自身今回も選択肢総当たりで乗り切った箇所もあったため、設計として勿体ないと感じてしまう(テストプレイヤを増やせばその辺りの調整もできそうだが、フリーゲームでは中々と厳しい…)
総評すると、本編の推理は非常に面白いため推理ゲーム好きは是非ともプレイしてみて欲しい。切る切らないの判断はOPが終わってからにしよう!